人手が足りず求人募集を出しているけれども、なかなか応募者が集まらない…。それならば、特定技能制度を利用して若手外国人の雇用を検討してみませんか?
しかし、
「特定技能制度ってなに?」
「外国人を雇うにはどんな要件を備える必要があるの?」
「外国人を雇用する条件は?」
といった疑問をお持ちになるのではないでしょうか。
そこで当記事では、特定技能制度とその要件について詳しく解説します。
具体的には、
- 特定技能とは
- 外国人を受け入れる事前準備
- 建設業者が特定技能外国人を受け入れる条件
の順でご説明します。
時代と共にますます企業の関心とニーズが高まる特定技能制度。平成31年に創設されたばかりの新しい制度について詳しく知っていただき、ぜひ人材不足解消の手段としてご検討ください。
特定技能とは
特定技能とは平成31年に創設された新しい制度です。一定の専門知識をもった外国人の在留資格であり、日本の人材不足を解消する画期的な制度として、今まさに企業のニーズと感心が高まっています。日本の少子高齢化はどんどん進んでおり、建設業界でも技能者の高齢化が深刻な問題となっています。具体的には以下の表にあるように、技能者は55歳以上が全体の約4割占めており、29歳以下の割合は全体の1割程度です。
このままでは、技能者の大部分を占めている層が一気に引退してしまい、日本の素晴らしい建築技術の継承が途絶えてしまうことも考えられます。そのためにも、若手人材を確保し育成していくことは早急に解決すべき重要課題です。そこで、国内人材の取組を行ってもなお人材確保が困難な業種に外国人の在留資格として新たに特定技能が創設されました。
外国人を受け入れる事前準備
当項目では、建設業者が特定技能外国人を受け入れる前に、まず必要となる準備についてご紹介いたします。
具体的には、
- 建設業許可の取得
- 建設キャリアアップシステムに事業者登録する
- 一般社団法人建設技能人材機構(JAC)へ加入
- 国土交通省の外国人受入計画の認定を受けること
の順でご説明いたします。
建設業許可の取得
ひとつ目は、特定技能外国人を受け入れるには、必ず建設業許可が必要となることです。
ただし、特定技能外国人に従事させる業務と許可業種は一致している必要はありません。例えば「大工工事」の許可しか持っていない企業が「内装仕上げ」で特定技能外国人を受け入れることも可能です。ただここで注意が必要なのは、外国人は在留資格で認められた業種にしか従事することができないため、この場合は大工工事の仕事はできないことに気をつけなければなりません。
建設キャリアアップシステムに事業者登録する
ふたつ目は、建設キャリアアップシステムに事業者登録が必要なことです。
建設キャリアアップシステムとは、技能者の資格や就業履歴を登録・長期的にデータを蓄積して、個人の技能キャリアの証明に役立つシステムのことです。建設業界は技能者の高齢化と若手人材不足が年々深刻化しています。
その理由として、次の3つの根強いイメージがあります。
- 勤続年数を積み上げても給料が上がらない
- 休日が少なく取りづらい
- 教育体制が不十分で技能者が育たない
そのため、建設業界の若手人材の育成に国土交通省が介入し、日本の建築技術を維持し未来につなげようと設立されたのが建設キャリアアップシステムです。
一般社団法人建設技能人材機構(JAC)へ加入
3つ目は、JAC(ジャック)への加入です。
建設業者で特定技能外国人を受け入れるときは必ず加入しなければなりません。なお、JACとは平成31年4月に設立された組織であり、主に以下のような外国人の受入サポートを行っています。
- 受入れを希望する建設企業への説明会の開催
- 適正就労監理・労働環境の整備
- 技能評価試験の実施
- 無料職業・人材紹介事業
- オンライン日本語講座
入会には、正会員団体もしくは賛助会員のふたつの選択肢があります。なお、JACについての詳しい概要は以下のURLよりご確認ください。
一般社団法人建設技能人材機構
国土交通省の外国人受入計画の認定を受けること
最後は、国土交通省の外国人受入計画の認定を受けることです。
建設業はほかの業種に比べて労働環境がきつく外国人の失踪者が多い業種です。また、外国人の労働条件や処遇の法令遵守が大原則です。そのため、外国人を受け入れる前に社会保険の加入状況、就業規則・賃金規定や36協定届を提出し国土交通省の認定を受けなければなりません。これは、労働法違反を事前に防止することを目的としています。
なお、建設特定技能受入計画はオンライン申請が可能です。
外国人就労管理システム
建設業者が特定技能外国人を受け入れる条件
当項目では、建設業者が特定技能外国人を受け入れる条件についてご紹介いたします。
具体的には、
- 雇用形態は直接雇用限定、派遣はNG
- 同等の技能を有する日本人が従事する場合と同等以上の給料報酬を支払う
- 外国人を建設キャリアアップシステムに登録する
- 雇用できる外国人の人数制限を守る
の順でご説明していきます。
雇用形態は直接雇用限定、派遣はNG
季節のよる繁忙期と閑散期の差が激しい業種については、特定技能外国人を派遣雇用することが認められています。
- 農業
- 漁業
しかし、建設業では派遣雇用は認められておらず、直接雇用することが受け入れ条件となっています。ただし、有期雇用契約で雇用することは可能です。特定技能の在留期間は4ヶ月・6か月・1年ごとの更新で最長5年までとなっています。そのため、1年更新で雇用契約書の取り交わしをしておくのがベターでしょう。
同等の技能を有する日本人が従事する場合と同等以上の給料報酬を支払う
外国人だからといって日本人よりも不当に扱い、低賃金で雇用することは許されません。日本人の技能者と比べて理由もなく低いときは外国人受入計画は認定されません。
具体的には、以下の条件があります。
- 日本人の建設技術者に支給される賃金を1ヶ月当たりの所定労働時間で除した金額が、地域別最低賃金等に1.1を乗じて得た金額を下回っているとき
- 第1号特定技能外国人の1ヶ月当たりの所定労働時間で除した金額が、地域別最低賃金等に1.1乗じて得た金額を下回っている時
また、業務経験や習得した資格など技能の習熟に応じて日本人と同等に昇給しなければなりません。ただし、1年あたりに見込まれる1月当たり所定内賃金の上昇額が千円未満であるときは、実質的な定期昇給とは認められず建設特定技能外国人受入計画は認定されないので注意が必要です。
外国人を建設キャリアアップシステムに登録する
特定技能外国人を雇用する企業は、建設キャリアップシステムの登録事業者になるだけでなく、受け入れた外国人も技能者登録しなければなりません。それにより、社会保険の加入条件や勤怠の記録が明確になり、これが外国人の技能キャリアの証明となります。なお、建設キャリアップシステムの技能者IDは外国人受入計画認定の添付要件です。
1号特定技能外国人の受入人数を守る
外国人を受け入れる企業は、常勤職員の総数が就労外国人の総数を超えてはいけません。ちなみに常勤職員の総数には、「1号特定技能外国人」「外国人建設就労者」「技能実習生」は含まないので注意が必要です。
1号特定技能外国人の総数と外国人建設就労者の総数の合計が、1号特定技能外国人を受け入れる建設企業(以下この章において「受入企業」という。)の常勤職員の総数を超えてはいけません。言い換えると、1号特定技能外国人の総数と外国人建設就労者の総数の合計が、受入企業の常勤職員の総数までは受け入れることが可能です。
建設技能者は、様々な現場に出向いて働くことが想定されることから、支援を要する1号特定技能外国人を監督者が適切に指導し、育成するためには、一定の常勤職員が必要であるため、1号特定技能外国人の受入人数の制限が設けられています。
一般社団法人建設技能人材機構
特定技能制度のご相談は当事務所にお任せください
当記事では、外国人の雇用を検討している建設業者さまに、特定技能の制度と要件についてご紹介しました。建設業界は人材不足が深刻な問題となっているため、今後日本で働く外国人の数はどんどん増えていくことでしょう。
しかし、外国人を雇用するにも事前準備や守らなければならない法令がたくさんあります。それらの知識を網羅することはなかなか難しいのではないでしょうか。
また、外国人人材をお探しの建設業者さまにおいては、当事務所で人材ご紹介のお手伝いをいたします。複雑で面倒な行政手続きも、当事務所で全て取次いたしますのでぜひ気軽にお問合せください。
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